
対話によって沁みわたる「愛情」が、
学生一人ひとりに自信と可能性を育む。
大学は、高校までとは別世界。まるで見知らぬ外国に、独り放り出されたような気分になるだろう。慣れないキャンパスで、初対面の同世代や大人たちとの新生活が始まると、気づくことがある。高校までの自分を支えてくれた、先生や仲間という存在の大きさだ。いつもどこかで見守り、困っている時に限って声を掛けてくれる。勇気をもらい、奮起する。だからこそ、聖学院大学の教育方針『一人を愛し、一人を育む。』には共感できる。全学生数が約2,200人という規模の小ささを活かして、教職員が多様な学生一人ひとりを見守り、時に伴走するシーンは大学生活全般におよぶ。その際、大切にされているのが「対話」だ。学生に自信や可能性が芽生えるのは、交わす言葉に「愛情」を感じるからに違いない。
01
学び
をヒモトク
「何でも面倒を見ること」が、
「学生を愛して育むこと」
ではない。
-学生にスイッチを入れる
「教職員の伴走力」-

『一人を愛し、一人を育む。』の鍵を握るのは、それを実践する教職員である。多様な学生一人ひとりの、個性や強みを把握できてこそ推進できる教育方針だ。
聖学院大学は、比較的少ない約2,200人の学生が集う小さなコミュニティ。「真の少人数教育」を実現できる規模であり、一人の教員が10人程度の学生の担任となる「アドバイザー制」も敷いている。自ずと「対話」が生まれる環境といえるだろう。そして、職員もまた、教員と連携して学生を見守り、伴走する。
こうした特徴が聖学院大学のファンを増やし、「面倒見が良い大学」という評価を得てきた。しかし、誤解されている一面もあると教員たちは話す。「“手取り足取り学生の世話をする大学”と捉える人もいますが、面倒見の本質は学生自身に“気づきと行動を促す”ことにあります。そのためには、個々の学生に寄り添い、それぞれの持っているかけがえのない力を発揮できる(エンパワメント)環境をつくることが大切です。だからこそ、学生一人ひとりとの絶妙な“距離感”を大切にしています」「チャンスはキャンパスの至るところにありますが、掴み取るのは学生自身の力です」
聖学院大学の教職員は、近すぎず、遠すぎず、見守り、「対話」し続けることで可能性を育む。学生一人ひとりの「気づき」は、自らの「行動力」を引き出し、未来を切り拓く才能に変わる。そして、やがては学生たち自身が「一人を愛し、一人を育む人」となって躍動する。そんな信念と愛情が、教職員の原動力になっている。
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大学時代だからこそできる
「経験」を学べる
フィールドがある。
-社会で活きる「地域との協働」-

自信や可能性を育むには、教養や専門知識といったスキルの習得が欠かせない。しかし、スキルはタネに過ぎず、開花させるには水となり太陽となるプラスαが必要だ。もっとも効果的なのは、「経験」という学びではないだろうか。
注目したのは、それを培う場の一つとして、聖学院大学が「地域」を重んじていることだ。学内に設置された「地域連携・教育センター」が、自治体、企業、NPO団体と連携を図り、「まちの活性化」「子育て支援」「障がい者福祉」といった学生の専門的な学びを活かした社会貢献活動を支援している。
対象となる地域は、キャンパス周辺に留まらない。たとえば、岩手県釜石市で2011年から続いているのが「復興支援」である。ボランティアスタディツアー『桜プロジェクト』では、大学近隣の盆栽町『清香園』の協力を得て、盆栽桜の苗木を釜石市鵜住居地区の人々に毎年届けている。ちなみに、発案したのは復興支援ボランティアチーム『SAVE』の学生で、「復興の象徴ともいえる桜を贈りたい」という想いからスタートしたという。
地域で生きる人々との「対話」を通して、多様な価値観や抱える問題などに触れる。そして、授業で習得したスキルをもとに解決策を練り、実際に試してみる。その経験は、社会に出たときに必ず活きるはずだ。
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「生きた英語」を学び、
「世界と対話」できる
自分になる。
-「国際力」が養われる教育と環境-

「政治経済学部」「人文学部」「心理福祉学部」からなる聖学院大学だが、学部名の陰で注目されにくい特長がある。「英語教育」の充実ぶりだ。
たとえば、全学部共通の英語科目群である「ECA (English Communication Arts)」は、映画・音楽・旅行・ビジネスなどにカテゴリー分けされているため、「英語の学習が好きになった」と話す学生も多い。また、各学部学科には独自の海外研修プログラムが設けられている。「海外インターンシップ」「児童学海外研修」「海外心理福祉研修」など、将来の仕事に直結する専門性を磨ける内容となっており、海外の提携校/認定校は世界5か国15校(2020年度実績)に広がっている。
一方で、「国際交流」に関心があるなら、それはキャンパス内でも可能だ。聖学院大学では、世界13カ国から来日した約350人の留学生(2020年度実績)も学んでおり、授業や課外活動のほか、数多く開催されている交流イベントでも接点がある。キリスト教の精神に基づく人格教育を行うことから、世界中にネットワークを持つ聖学院大学ならでの特徴といえる。
教材だけに頼らない「生きた英語」を学び、「国際力の養成」をゴールに置いた英語教育が、ここにある。
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02
生活
をヒモトク
教授陣の「研究室」は、
まるで開かれた「カフェ」。
-人間同士の交流を生む「オフィスアワー」-

『一人を愛し、一人を育む。』は、授業に限ったことではない。「授業外の時間」に学生の疑問や悩みにも耳を傾け、助言することも重要な育成と考えている。とはいえ、学生の目線に立てば、相談するにも勇気が必要で、相手は誰でもいいというわけではない。
そこで設けられているのが「オフィスアワー」である。これは学生が気軽に教員の研究室を訪れることが出来るシステムだ。各教員の「オフィスアワー」は誰もが事前に学内システム専用サイトで把握できるようになっている。このような時間を、「仕組み」として導入している大学は少ない。
もちろん、相談事がなくても訪問できるし、教員の手が空いていれば設定された日時以外も「オフィスアワー」になる。むしろ、それを「大歓迎」と話す教員が多いことに聖学院大学らしさを感じた。「開放日は“出入り自由”として、文献や資料などの利用もOKとしています」「授業では取り上げない時事ネタや芸能ネタで盛り上がることもあります」「研究室に戻ると決まって、遊びに来た学生たちが待ち構えています」「時には恋人を連れて教員に紹介する学生もいたりします」。
オフィスというより、カフェであるかのように和やかなひと時だが、聖学院大学は「対話」を生むこの時間を、絶好の「人間交流の機会」と捉えている。卒業後も研究室に顔を出す学生が多いというエピソードを聞いて、さらに納得した。
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SDGsが「他人ゴト」から
「自分ゴト」に変わる課外活動。
-学び・生活・将来をつなげる
「SDGs」の取り組み-

今やSDGs(持読可能な開発目標)は、小学校から大学まで積極的に授業で取り上げるほど重要なテーマとなっている。ただ、目標が壮大であるがゆえに“他人ゴト”と捉えがちだったりする。「できることから始めましょう」と奮起を促されるだけでは、問題意識も高くはならない。だからこそ教育現場に求められていることは、自分に何ができるかをよく考え、アクションを起こしやすくするきっかけ作りではないだろうか。
その点、聖学院大学はSDGsの取り組みにおいても「対話」を大事にしている。教職員が参加希望の学生と開く定期的なミーティングをきっかけに、社会の諸問題について議論や解決策の検討を重ね、発足した学生チームの自発的な行動を促していく。そして、決定したテーマや内容が、大学を挙げて取り組む各年度の『SDGsアクションプラン』としてプロジェクト化されるため、メンバーの問題意識や行動力は非常に高い。『学食寄付メニュープロジェクト(食べることで途上国に学校給食一食分を寄付できる)』をはじめ、過去に推進してきたプランにはすべて学生の目線が活きている。
さらに見逃せないのが、こうした大学としての取り組みから、ゼミや学生という単位での新たな取り組みが継続的に生まれていることだ。活動団体『Petite Arche(プチ・アルシュ)』もその一つで、代表を務める学生のコメントを一部紹介する。
「SDGsを“自分ゴト”として考えてもらうために立ち上げた団体です。食や古着など、自分の“好き”とSDGsを結びつけることがモットーで、企業やボランティア団体と連携を取りながらプロジェクトを進めています」
こうした活動は、本人に卒業後の道を決める判断基準も示してくれるはずだ。学び・生活・将来をつなげてくれる貴重な課外活動となるからこそ、聖学院大学はSDGsの取り組みに本腰を入れている。2022年4月には専門拠点「サステイナビリティ推進センター」を立ち上げた。学内外での連携を促し、SDGs達成の鍵と言われる「ESD(持続可能な開発のための教育)」の充実を図るなど、推進活動のさらなる活発化に期待できるニュースは絶えない。
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イベントやサークルも、
自信や可能性を育むステージ。
-学生主体で運営される「アクティビティ」-

以前、ヴェリタス祭(学園祭)の実行委員長を務める学生にインタビューしたことがある。「聖学院大学は、とにかく“イベント”が多い大学なんです。暇を持て余すようなキャンパスライフにはなりませんし、させません」。そう聞いて、パンフレットで年間行事を確認すると、学生の言うとおりだった。
ジュベナリス祭(体育祭)、ほたる祭、リトリート、クリスマス点火祭、復興支援ボランティアスタディツアー、アセンブリアワープログラム・・・・・・他の大学ではあまり見かけないイベント名がズラリと並ぶ。種類が多いぶん、運営する組織委員会の数も多い。一方で、普段の活動に加えて、イベントの盛り上げに協力するクラブ&サークルの数も少なくない。すべて含めると、40以上の団体が現在活動中である。
共通するのは、学生が主体となって運営していることだ。チームとなり、企画から実行までを進めるプロセスの中で、問題解決力や行動力、協調性やリーダーシップなど、さまざまな能力が磨かれていく。
だからこそ大学側も、こうしたアクティビティに参加する学生を全面的に支援する。「開催したいイベントや、立ち上げたいサークルがあれば、私たち職員にぜひ相談して欲しいですね。実現したケースは一つや二つではありません」。キャンパスライフにおいても、自信や可能性を育むための努力を惜しまない。
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03
将来
をヒモトク
キーワードは
「ライフキャリア」。
内定ではなく、人生を支援する。
-長期的な視点で描く力を養う「キャリア支援」-

大学に進学する前から、卒業後を心配する受験人も多いと聞く。「キャリア支援」に力を入れる他の大学と同様に、聖学院大学でも1年次からキャリア教育がスタートする。ただし、大学によって異なるのが「キャリア」の考え方だ。
キャリアと聞くと「ワーク(仕事・就職)」を連想しがちだが、聖学院大学はそれを「ライフ(人生)」と捉えている。将来の職業のことだけではなく、卒業後の長い人生について「どう生きるか」「どう生きたいか」を考え、その答えをゴールに置いて「大学時代をどう過ごすか」を定める。こうした「ライフキャリア」を描くことがキャリアデザインであり、描くための支援を4年間にわたって行っている。その取り組みは、学生に貴重な気づきを与えているようだ。
「漠然と障害者施設への就職を考えていましたが、ゼミの先生から“大変さも踏まえた上でなぜそこがいいのですか?”と尋ねられた時、はっきりと答えられませんでした。目先の就職ではなく、長い目で人生を考える転機になり、最終的には障害者と外の世界をつなげる公務員を目指すことにしたのです」
こうしたストーリーが生まれるのは、学生をよく知る教員と連携しながら支援する「キャリアサポートセンター」の存在が大きい。就職活動中は同じ担当者が相談に乗り続けてくれることや、キャリアコンサルタントの国家資格をもつ専任スタッフが常駐している点も心強い。
就職することは「ライフキャリアの第一歩」であり、支援するのは「内定ではなく人生」。その考え方は、就職率の高さをアピールされるよりも大きな安心材料になるはずだ。
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「先輩」が「後輩」の就活を
バックアップするという伝統。
-「絶就研(ぜっしゅうけん)」にみる学生間支援-

インターンシップや会社説明会、試験対策講座など、聖学院大学にも十分なサポートプログラムが用意されている。就職活動に対する支援は、面倒見の良さがもっとも表れる場面の一つといえる。ただ、面倒見が良いのは教職員だけではない。上級生による支援活動も精力的に行われている。
活動の中心を担っているのは『絶対に就職するための研究会(略して“絶就研”)』。個人単位ではなく、大学公認の組織として支援体制を敷いている点に本気さが表れている。メンバーは、志望した企業から内定を獲得し、「納得がいく就職活動ができた」ことに自信を持つ少数精鋭の先輩学生。終えたばかりの活動を振り返り、活動を始める後輩学生に対して、得たノウハウを余すところなく伝授している。その内容は、自己分析や企業研究の方法、企業や職種を選ぶポイント、活動スケジュールの立て方など多岐にわたり、オリジナルの実践プログラムも企画している。キャンパス内にある「キャリアカフェ」に窓口を設け、予約なしで相談に応じてくれる点にも面倒見の良さを感じる。
『絶就研』の存在感がひと際光るのは、実体験がなければ答えられない質問を投げかけた時だろう。「面接で何を聞かれたか?」や「評価されたアピールポイントは何か?」には、さすがに教職員も答えられない。リアルな助言を与えてくれる先輩学生は、きっと「半歩先の自分」と映るはずだ。
絶大な支持を得ている『絶就研』だが、聞けば発足して20年以上が経つという。学生が学生をバックアップすることも、すでに聖学院大学の伝統となっている。
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企業にとって価値がある、
聖学院大学の「人格教育」。
-大学や卒業生に対する「企業の評価」-

聖学院大学は、就職支援も手厚い。1年間に実施される「ガイダンス」は、準備から実践的なものまで20種類以上・延べ80回を超え、「学内会社説明会」の開催数も20回に迫る(2019年度実績)。他のサポートプログラムや就職実績は大学のウェブサイトを見てもらうとして、筆者が知りたかったのは、聖学院大学の教育や卒業生に対する「企業の評価」だ。大学が各企業に行ったアンケートへの回答(2019年度実績)の一部を紹介する。
まず、企業が採用時に「かなり重視する」と答えた資質の上位3項目は、「コミュニケーション」「誠実さ」「協調性」であった。それに対して、卒業生に対する印象は「真面目」と「誠実」で過半数を占め、それに「協調性がある」「行動力がある」が続く。以下、各企業採用担当者のコメントも参考にしてほしい。
「毎年採用していますが、共通の印象としては明るくて温厚。積極性や誠実さをもって業務にあたってくれています。特に優れた点として、仕事がスムーズに進むように社内外の人たちと良好な関係を築けていける力があると感じています」(生活総合商社)、「大人しくて地味な印象でしたが、一緒に仕事をしてみると行動的で、自分の仕事に意見を持っている。頼もしい存在です」(総合商社)、「何事にも積極的にチャレンジし、持ち前の粘り強さで諦めずに取り組む姿が印象的です」(専門商社)、「真面目で優しい人柄ながら、入社後は1年目からリーダーシップを発揮し、期待できる人材に成長しています」(通信・ネットワーク系企業)。
聖学院大学の『一人を愛し、一人を育む。』という教育方針や、ひいては、キリスト教の精神に基づく「人格教育」は、企業にとって価値あるものといえそうだ。
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